犬のトリミングとは

犬のトリミングサロンは人間の美容室のようなもの、と漠然としたイメージでとらえている人は多いと思います。そもそも犬のトリミングとは、何のためにどんなことをしているのでしょうか。まずはトリミングの基本的なことからご説明します。
シャンプーされる犬

トリミングには健康維持の目的も

犬をトリミングするのは、見た目のかわいらしさやカッコよさをキープすることだけが理由ではありません。
長く伸びた毛に汚れや排泄物がつくと、皮膚病などの原因になってしまいます。さらに足裏の毛が伸びたままでいると、フローリングの床で滑って足腰を痛めてしまう危険性も。

シングルコート※1の長毛種は、抜け毛が少ない代わりに毛が伸び続けるため、定期的なトリミングが必要です。一方で換毛期のあるダブルコート※2の犬であっても、夏の暑さ対策としてトリミングをする場合があります。

犬の被毛をお手入れすることは審美的にも健康的にも、とても重要なのです。

※1 シングルコートとは…被毛は上毛のみで下毛はなく、換毛期がないため伸び続ける被毛をトリミングでカットする必要がある。
※2 ダブルコートとは…上毛と下毛の2重構造の被毛をもつこと。年に2回の換毛期で毛が生え変わるため、トリミングは必須ではない。

カットだけじゃない? トリミングの内容

サロンでのトリミングは、有資格者であるトリマーが担当します。使う道具は犬用のバリカンやハサミ、コーム、ブラシなどです。
シャンプーで全身の汚れを落とし、ドライヤーでしっかり乾かして毛のクセを伸ばしてからトリミングします。バリカンで全身の毛を短くしたあと、ハサミで細かい部分を整える方法が一般的です。

爪切りや耳掃除、肛門絞りも一緒にやってもらえる場合も多いです。
サロンのなかには、被毛を美しく保つための泥パックや炭酸泉バスといったオプションプランを用意しているところもあります。

トリミングが必要な犬種は主にシングルコートの長毛種

前述の通り、長毛種で特にシングルコートの犬種は定期的なトリミングが必要です。トイプードルやビションフリーゼのような巻き毛の犬は特に毛が絡まりやすいため、こまめなお手入れが必要になります。

代表的な犬種

 ・トイプードル
 ・スタンダードプードル
 ・ビションフリーゼ
 ・ヨークシャーテリア
 ・マルチーズ
 ・シーズー
 ・ミニチュアシュナウザー
 ・アメリカンコッカースパニエル
など

また、ダブルコートの犬でも、抜け毛や暑さ対策としてサマーカットでさっぱりさせる飼い主さんもいます。

トリミングの料金目安

トリミングの道具
犬のトリミングは、サイズや犬種により料金が変わるケースがほとんどです。また、お店の立地や形態(個人か法人か)によっても変動します。だいたいの相場を見ていきましょう。

小型犬のトリミング相場は 5,000~9,000円

シャンプーコースは、シャンプーに爪切りや肛門絞り、耳掃除といったメニューを含む場合、カットコースはそれに全身カットを含む場合の相場です。
※コースの内容は店舗によって異なります。

犬種シャンプーコースカットコース
チワワ(ロング)
ミニチュアダックスフンド(ロング)
パピヨン
3,500~5,000円5,000~6,500円
ポメラニアン
ヨークシャーテリア
マルチーズ
4,500~5,500円6,000~8,000円
トイプードル
ミニチュアシュナウザー
キャバリア
ウエストハイランドホワイトテリア
ビションフリーゼ
5,500~7,000円7,000~9,000円

中型犬のトリミング相場は 6,500~1万2,000円

犬種シャンプーコースカットコース
ウェルシュコーギーペンブローク6,000~7,000円6,500~7,500円
シェットランドシープドッグ
日本スピッツ
ボーダーコリー
アメリカンコッカースパニエル
6,500~8,000円8,000~1万2,000円

大型犬のトリミング相場は 9,000~2万円

犬種シャンプーコースカットコース
ゴールデンレトリバー8,500~1万1,000円9,000~1万5,000円
バーニーズマウンテンドッグ
サモエド
グレートピレニーズ
スタンダードプードル
ボルゾイ
9,000~1万6,000円1万4,000~2万円
同じ犬種であっても、体のサイズ(体重)で料金がかわるケースもあります。トリミングサロンによって方針が変わりますので、気になる場合は事前に問い合わせると安心です。

場合によっては追加料金がかかることも 

通常のトリミングでは取り切れない毛玉やもつれがある場合は、プラス500円~といったように別途費用がかかることがあります。

カットモデルになると安くトリミングができる?

未来のトリマーを養成する専門学校では、カットモデルを募集している場合があります。生徒さんのトリミング練習をお手伝いする代わりに、相場よりも安価に施術してもらえます。
トリミングの技術は先生がチェックしてくれるので、プロと同等に仕上げてもらえることも。

カットモデルには細かい募集条件が決められている場合もありますので、事前に問い合わせてみましょう。

子犬のトリミングは3カ月を過ぎたころから

子犬のトリミングをはじめる時期として適切なのは、生後3カ月以降だと言われています。
トリミングサロンによっても受け入れ条件は異なりますが、3カ月以降としているところが多いようです。

まだ成長段階にある子犬に対して、長い時間おとなしくしていることや、聞きなれないバリカンの音を聞いたり、知らない人の手によるシャンプーをされたりということは、ストレスにつながります。

子犬の精神的・身体的負担を考え、精神的に落ち着きだす生後3カ月を過ぎてからが好ましいとされているのです。

また、「狂犬病予防接種」と「混合ワクチン」の接種が済んでいる必要があり、サロンを利用する際には接種証明書の提出が必要になります。またワクチン接種直後ではなく、1~2週間以上経過が条件とされることが多いです。

トリミングの頻度は1カ月に1回が理想

グルーミングを受ける犬
さきほども説明した通り、犬のトリミング料金は犬種やサイズによって変わります。大型犬となると結構な出費になりますが、サロンに通う頻度はどれくらいが適切なのでしょうか。

カットの長さによって異なる

おおよそ月に1回程度が理想的ですが、希望するスタイルによって頻度は変わります。毛を長く伸ばしたスタイルは毛玉やもつれも発生しやすく、こまめなトリミングが必要です。

トリミング頻度を低くしたい場合は短くカットするのがおすすめ

サマーカットのように全身を短く刈り込んだスタイルは、だいたい1カ月半~2カ月程度はカットなしでも大丈夫な場合が多いです。ただし、トリミングに行かない分、自宅でのブラッシングのお手入れはこまめに行う必要があるでしょう。

トリミングの注意点

ブラッシングされる犬
はじめて犬をサロンに連れていくときは、ちょっぴりドキドキしますよね。事前に以下のポイントに気を付けてみましょう。

事前に確認すること

子犬のトリミングは、ワクチンを済ませた1.2週間後ぐらいから可能です。ワクチン接種が終わるのを待ち、サロンに予約を入れてください。
ノミやダニなどの寄生虫は、ほかのワンちゃんにうつしてしまう恐れがあるため、必ず駆除してから行きましょう。同じく感染症にかかったときも、完治するまでトリミングは控えてください。

トリミング当日の注意点

トリマーさんにおまかせという飼い主さんもいますが、希望するスタイルがあれば具体的にオーダーするといいでしょう。モデルの写真があるとなおいいです。犬種ごとのカタログ雑誌やSNSの写真などを見てみると、素敵なカットスタイルに出会えます。

犬の毛質や毛量によっては、モデルとまったく同じとはならないこともあります。特に毛が柔らかい子犬のうちは、成犬のようなスタイルにはならないもの。毛が生えそろうまではパピーカットをオーダーするといいでしょう。
  
トリマーさんにけがをさせてしまう恐れのある“噛み癖”持ちの犬の場合は、必ず事前に申告してください。サロンによっては「噛み癖のある犬はお断り」であったり、追加料金がかかったりする場合もあります。
トリミング前にトレーニングを行っておくのがベストですが、難しい場合は口輪やリードを使うなど、サロンへの配慮も忘れないでくださいね。

また、トリミングにかかる時間は犬のサイズにもよりますが、2時間から長い場合で5、6時間になるケースも。犬の体にも少なからず負担がかかるものです。とくに子犬やシニア犬は体調に注意し、少しでも不安なことがあればトリミングをお休みして様子を見てくださいね。

まとめ

毛をカットされた犬
長毛犬やシングルコートの犬には必須のお手入れ、トリミングについて解説しました。なかには自分でカットを覚えてトリミングを行う飼い主さんもいますが、少しでも不安があればプロにおまかせするのが安心です。ふわふわでいい匂いになった愛犬の姿は、とてもかわいらしいものです。

トリミングは被毛を衛生的に保つためにも、ノミやダニの発生を抑えるためにも、大事な役割を果たします。夏には熱中症を予防する効果もあります。季節によって、カットスタイルによって、ガラッと雰囲気が変わる愛犬の姿を見るのもまた楽しみですね。
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